FIFA10における被写界深度レンダリングへの取り組み

FIFA10の開発が終わりに近づき、私達はマーケティング用スクリーンショットの撮影に追われています。
ここ数年を通じて、皆さんの中でお気づきになっている方、またそうでない方もいらっしゃるかと思いますが、スクリーンショットの多くには被写界深度が含まれています。
被写界深度はビデオカメラとカメラのレンズによって生み出されるもので、焦点上にない物体がぼやけるということを指します。
カメラを操作する人が絞りを開いて、感光フィルムやセンサーにより多くの光を入れようとすると、被写界深度は浅くなります(焦点上にない物体のぼかしは強くなります)。
一般的には焦点距離の長いレンズ(ズームレンズ)の使用、そして速いシャッタースピードを可能にするので、素早いアクションの近距離撮影を可能にします。速いシャッタースピードがない場合は、もうひとつの写真特有の産物、モーションブラ-が生まれます。
スポーツ写真家や、ビデオカメラのオペレーターは、望遠でシャッタースピードの速いレンズを使って、アクションをクローズアップ撮影します。被写界深度が写真特有の産物だということはつまり、私達はこれを画像内でよく見かけているということです。
また、被写界深度は重要でない部分をぼやかすため、写真を見る側の人達にその写真のどこがポイントなのかを教えることが可能です。

皆さんは被写界深度を見慣れているので、私達がそれをレンダリングに、そしてゲームに組み込んで、リアル感を出す作業は重要です。
今までのFIFAのレンダリングエンジンは、ある程度の被写界深度は表現できていました。
しかし、予期せぬエラーや動作性能、そして実行理論の欠如等の問題から、被写界深度効果は最低限に抑えられてしまい、ゲームから抽出した静止画像用として制限されていました。しかしFIFA10では、被写界深度に対し、もう少ししっかりと取り組むチャンスを得ることができました。
今までのFIFAでは、被写界深度はアーティストが奥行き感をベースにした平面群を重ねることで制御していました。
例を挙げますと、物体に焦点が合う距離、物体がぼやける距離、そしてぼかし効果の最大値等による制御です。
つまりぼかし効果は2地点間での直線的変化であり、またその変化は最大値までとなっていました。
しかし、写真の経験がない者がこれを行った場合、勿論リアルには見えません。
たとえ見えたとしても、リニア面におけるそのぼかし補正は物理的に正しくありません。
FIFA10のレンダリングチームは新しい物理ベースの被写界深度計算を実装し、これによって本当のレンズを通してどうなるかを上手くシミュレートすることができるようになりました。
選手へ焦点を合わせる理論を改良して組み込み、より優れたアーティスト制御のカメラ操作も実現したため、マーケティング用スクリーンショットだけではなく、ゲーム自体でも優れた被写界深度効果を生み出すことができました。

写真や映像の原理をゲームの中に取り入れる際に考えなければならない重要な事項があります。
簡単に言えば、ゲームプレイのカメラが、パスを送る相手をぼかして映すようなことがあってはいけないということです。
どこで、またどれだけの被写界深度がゲーム内で起きるかについて、私達は慎重に検討したため、ゲームプレイカメラを邪魔しない被写界深度効果をリプレイやハイライト、非インタラクティブシーケンス内で確認できるようになりました。
またゲーマーが被写界深度効果を味わうことができるカメラとしては、インスタントリプレイ軌道カメラがあります。
インターフェイス上に新しい操作を加えたので、ユーザーの皆さんは、左スティックの上下で選手にカメラを寄せたり、引いたりできるだけではなく、左スティックを左右に動かすことで、ズームイン/アウトも行えるようになりました。
これによって、選手を広いアングルで捉えたり、クローズアップしたり(こうするとぼかしが弱まり、比較的深い被写界深度になります)、または遠くからズームインして、ぼけ効果を最大にすることができます。

被写界深度、その他のレンダリング、アート、そしてフロントエンドグラフィックは、その現実再現性の高さで、ゲームプレイやゲームモードを支え、そして向上させています。
ただし、ユーザーの皆さんがFIFA10をプレイして最初に気付くのが被写界深度効果だった、というようなことがなければ良いと思います。
これはユーザーの皆さんを最もリアルなサッカーゲームに熱中させるための要素のひとつである、ただそれだけなのです。
マイケル・デイ